真珠道(まだまみち)探訪記 (中篇<2>:識名トンネル〜真玉橋) | |
前回の編ではgoogleマップのストリートビューに翻弄され、危うく現実(リアル)を放棄するところでした。ゲームと現実の区別が付かなくなる子供たちの心理を、一瞬でも垣間見たような気がします。 |
蔦に覆われた一軒家 |
気をとりなおして、識名霊園近くの6叉路の交差点から左手奥の小道を上っていくと蔦に覆われた一軒家が見えてきました。 ここは、「てんtoてん」という沖縄そばのお店です。 店内の雰囲気や使用している器も好評で、知る人ぞ知る結構人気のあるお店のようです。つなぎには、ガジュマルを燃やして作った樹木灰の上澄みを使用しているということで、昔ながらのこだわりを大切にした沖縄そば屋です。 店内は「わ」ナンバーの客だけでなく、地元の家族づれもいっぱいで、知っていて損のないお洒落で本格派のお店です。 |
ところで「沖縄そば」という名称には、蕎麦(そば)粉が含有されていないという理由で公正取引委員会からクレームがついたことがあったようです。 しかし、中華そばや焼そばにもそば粉が入っていないことを考えると、いわれのないことだろうと思います。そういえば、バーミヤンで長崎皿うどんを頼んだ老夫婦が、「焼きそばを頼んだ覚えはない!」と若い店員さんにクレームをつけていたのを思い出しました。 ここらあたりから道は下り坂に変わります。おそらく、この真下あたりに識名トンネルが通っていると思われます。 識名トンネルは、2010年10月31日に開通したトンネルですが、最近になって6件もの虚偽契約が発覚し、国から5億8千万円の国庫補助金返還を求められている旬な話題のトンネルです。 役所仕事は、窓口での手続きは非常に細かいのですが、上層になればなるほどいい加減になっていく点が多くの行政に通ずる悪しき実態です。 |
真和志間切番所跡 |
真和志間切番所跡までやって来ました。 ここには美味しいラーメン店を探し廻っているうちに、道に迷って来たことがあります。ここから真玉橋まで、長くて急な下り坂がつづく筈です。道のゆるやかなカーブ具合が首里城の石垣のきれいな湾曲にも似て、いにしえの街道筋の雰囲気がいやがうえにも掻き立てられます。 道なりに下っていくと、背後に巨大な備蓄タンクが現れます。地図上は丸く描かれているだけで、何の説明もない怪しい施設です。水道施設のようですが、住宅街にあるせいで非常にデカく感じます。 |
怪しいタンクを背中にさらに下ると沖縄女子短期大学の横に出てきました。この坂は、前に自転車で登ってきたことがあります。自転車を一生懸命に手で押して登る人ともすれ違いましたが、下りの道筋はあまりにも心地よく、かつて経験した苦しかった記憶はとうに忘れてしまいました。 国場川の近くをとおる国場大通り(国道507号線)までは、自転車で下るとあっと云う間です。猛スピードで下ったため、途中の様子はほとんど記憶がありません。 人間が考えながら動ける速度はせいぜい歩く速度(時速4km)までで、それを越えるスピードでは万一の危険回避に全神経が注がれ、他のことを考える余裕はなくなるからだと思います。 |
真玉橋とシーサー |
真玉橋(まだんばし)に着きました。現在の真玉橋は、琉球王国時代に真珠道の一部として建造されたアーチ橋をイメージした設計になっています。 真玉橋の麓では、「イリヌシーサー」と「アガリヌシーサー」が待ってくれています。アガリヌシーサーは目が青銅で出来ていて、お洒落で可愛らしいシーサーです。一方、イリヌシーサーは極めて精悍な男前のシーサーで、漫湖に住む人食い怪獣から村を護るために作られたと言われています。 二匹とも私の古くからの友達なのですが、なかなか会う機会がないのでちょっとだけ顔を出してから先に進みます。 |
前篇<1> | 前篇<2> | 中篇<1> | 中篇<2>(この場所) | 続いて、小禄(おろく)の路地を歩きます。 |
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。) ついでに、他の「紀行・探訪記」へも、是非訪づれてください。 |