【6月】 沖縄花だより (後編:糸満ハーレーと夏の到来)

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 沖縄の梅雨は、6月中旬に行われる糸満ハーレーの鉦(かね)の音と共に明けると言われています。今年の糸満ハーレー開催は6月12日水曜日。ハーレー(ハーリー)は、豊漁と海の安全を祈願する海人(うみんちゅ)たちの神事であって、観光客やサラリーマンたちの都合はお構いなく平日開催は当たり前、社会の都合より一門の神事を優先するのが沖縄流です。南部では同じ日に、名城(なしろ)奥武島(おおじま)、港川でもハーリーが開催され、一般の会社に勤めている人は一斉に有給休暇を取ることになります。

 今日は6月6日木曜日、沖縄タイムスの紙面を覗いてびっくり! 総合第一面にはハーレー鉦(かね)を打ち鳴らす糸満漁協組合長の写真が掲載させていて、鉦打ち行事は昨日のうちに粛々(しゅくしゅく)と執り行われた後でした。記事によれば、鉦はハーレー開催の一週間前に打ち鳴らすものなのだそうです。 関東地方では5月29日、平年より10日早く梅雨入りしたと発表しましたが、その後の猛暑続きで梅雨入り宣言の見直しをしようかなどともたついている間に、沖縄ではもう梅雨明けの行事が始まりました。

 4日にはオリオンビールから夏季限定醸造「夏いちばん」の発売が始まりました。その夜には、試合終了三分前にゴールポストど真ん中に放った本田のPKがサッカーワールドカップ本戦出場を決め、翌5日には自民党のマニフェストへの辺野古移設明記が決定し、翌週21日には夏至の日もやってきます。そんな訳ですから今日からは、気象庁が何を言おうが梅雨前線がどこに居ようが梅雨は終わりで、沖縄にはいつにも増して暑い夏がやって来ます。[夏いちばん]

 そして天気図を見て今日二度目のびっくり、沖縄本島に長く停滞していた梅雨前線が、あたかも映画「十戒」の一コマのように、真っ二つに切り裂かれてしまっています。こんなことが出来るのは、モーセか琉球創世の女神アマミキヨ(阿摩美久)以外には思い当たりません。[今日の天気図]



糸満ハーレー

喜屋武ハーリー

名城ハーリー

 そんな訳で、今日はさっそく朝から快晴、キョウチクトウの花もだいぶ目立ってきました。キョウチクトウは5月から9月頃まで開花する典型的な夏の花、乾燥や大気汚染にも強いということで高速道路沿いによく見られます。一方で、毒性も相当強く、枝を箸代わりに利用して中毒した例や串焼きの串に利用して死亡者が出た例もあるということで、甘く見てはいけません。

 沖縄ではオキナワキョウチクトウという木も見かけます。沖縄名は「ミフクラギ」で、「目が膨れる(腫れる)木」が名の由来、夏になると小ぶりのマンゴウにも似た小さな実が赤く熟しますが、その種子は殺鼠(さっそ)剤の原料になるほどの猛毒で、知らずに実を食べたり樹液が目に入ったりするとひどい目にあってしまいます。

 同じくキョウチクトウの仲間で、あちらこちらに黄色い大きな花を咲かせているのは熱帯アメリカ原産のオオバナアリアケカズラ。ハイビスカスと思っている人も多いようですが、大きな違いはめしべが隠れて見えないところ。 キョウチクトウの花言葉は「注意」、「危険」。米軍キャンプや自衛隊基地のフェンス沿いにもたくさん植えられていて、ちょっとしたブラックジョークにも思えます。でも、危険な花は大好きです。

 市場では、県産マンゴウの出荷も始まりました。この時期はほとんどが県外で販売され、県内に出回るのはもう少し先ですが、そろそろ味覚も夏に衣替えです。[マンゴウかき氷]



キョウチクトウ(夾竹桃)

オキナワキョウチクトウ(沖縄夾竹桃)

オオバナアリアケカズラ(大花有明葛)



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(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。)
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