「安里栄町」飲み歩き探訪 | (前編) |
安里 栄町市場 |
最近、安里栄町市場界隈の飲み屋がやばい(ステキと云う意味)と云う噂を耳にします。先日開催されたバルウォーク那覇第二弾でも、安里エリアが新規参入となりました。栄町市場発祥は牧志公設市場や農連市場と同じ戦後の復興期。かたや観光客に支配されつつある公設市場と異なり、こちらは古き良き昭和の香りたっぷりで、その中にも、新しい世代の息吹が芽生えています。 安里の飲み屋に明かりが灯るのは18:00辺りから。東京浅草「浅草寺(せんそうじ)」の裏手で昼から営業しているホッピー通りとは訳が違います。さらに終電の概念の無い沖縄にあって、1時には閉店する極めて健全な場所でもあります。・・・そうか!ここは歓楽街ではなく市場でした。そういえば、近くの社交街のスナックは朝まで元気にやってます。 自宅から安里へは、56系統浦添行きバスで向かいます。下車駅は安里一丁目、沖縄に長く暮らす小さなプライドでモノレールは使いません。しかし、バス停を降りたものの何処か分らず、結局一緒に降りたおばちゃんに、「安里駅どっちでしたっけ?」と聞く羽目になってしまいました。ようやく安里栄町市場に着きました。市場へは西口から入場します。入り口は他にも南口、東口などがあって、ほとんど東京の新宿駅と一緒です。市場の中に入るや否や昭和の時代にタイムスリップ、これから楽しい飲み歩きの時間です。 最初に訪れたのは「生活の柄」、一階はカウンター席ですが、外だか内だか分らないような階段を登って2階に登れば座敷もあります。ここで調査隊員3名が合流、チンゲン菜の炒め物550円と厚揚げ豆腐450円を頼みハイボールで乾杯です。店は本当に落ち着く昔ながらの一軒屋、しかし店のセンスと料理の味は洗練された現代の物でした。 一軒の店に長居しないのは、なんちゃってバルウォーク流。お店のご主人に沖縄そばの美味しいところを訪ねれば、「すくぬぅ すばは うちなーんいちぃ」(そこのそばは沖縄一)と云うことで、すぐ近くの角のお店を紹介してくれました。訪ねてみれば、バンドのメンバーが音楽をやっていて、大変ポップな感じです。店の中に客は2人、我々が合流したお陰でようやく客の数が従業員を上回りました。注文したのは沖縄そばとハイボール。そばのスープはやかんに入っていて自分で麺の入った丼に注ぎます。これはスープに並々ならぬ自信のある表れだと直感しました。 おそらくここは「ボトルネック」というお店に違いありません。ビールはオリオンの小瓶のみ、おつまみは缶詰めでイザとなったら食べ物持込可。「ウエットな接客ではないので、干渉されずに飲みたい人にはいいのではないだろうか。」と食べログに口コミを残した人は、感性を的確に表現できる人だと思います。 次に向かったのは天婦羅屋、今年3月オープンの立ち呑みスタイルのお洒落なお店です。行ってみれば店内はお客でいっぱいで、とても人気のお店のようです。天婦羅は胡麻油でサクッとあげた内地仕上げの天婦羅です。ここのご主人が京都で修行を積んだ川端さんであるという情報は掴んでいました。値段も一品200円でやはり沖縄の天婦羅屋さんではありません。ここではおまかせ天婦羅1,000円とハイボールを注文。お通しは生のかぼちゃ!! 流石に生のカボチャは初めてです。本命の天婦羅も、つい最近「ユネスコ無形文化遺産」に認定された「和食」を感じさせる、ふんわりとした素材の香り溢れる出来でした。
今回は、このぐらいで中締めさせて頂こうと思います。安里栄町市場界隈は、一日や二日で制覇できる処ではありません。これからたっぷり時間を掛けて開拓して行こうと決めました。恐らく安里栄町探訪は、中篇、後編、続編と延々と続きそうな予感がします。 |
前編(この場所) | 中編につづく | 【Information】 |
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。) ついでに、「紀行・探訪記」や「沖縄花だより」、「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。 |
(文、写真:梶原正範) |