【4月】 沖縄花だより | (後編:浜下り) | |
前編から一週間たって今日は4月13日の土曜日、那覇市のとなり豊見城市瀬長島にやってきました。昨日は旧暦3月3日浜下り(はまうり)の日で、女性達がご馳走を持って海浜に集まり、手足を海水に浸して身を清める日です。今日の天気は朝から快晴で風も無く、一日遅れの浜下りにはうってつけの日和です。さらに今日は大潮で干潮時刻は14時54分、この時間は遠くの方まで潮が引き、健康を願う小さな子供づれの家族の姿で浜は大賑わいでした。[瀬長島の海岸] 瀬長島に渡る海中道路の手前ではシナガワハギが花ざかり、江戸時代にヨ−ロッパから持ち込まれた帰化植物ということで、東京品川に多かったことが名前の由来だそうですが、いまではどこでも見かける雑草です。 ここには、ナナホシてんとう虫の元気な姿がありました。一緒にいた薄鼠(うすねず)色の虫は幼虫です。このてんとう虫は益虫で、植物に寄生するあぶらむしを食べてくれます。 騙されていけないのはニジュウヤホシてんとう虫、配色は類似していますが星の数が異なり、こちらはナスやジャガイモの葉っぱをぱくぱく食べてしまいます。 ひらひらと舞っているのはオオゴマダラ、近づいても逃げようとせず夢中で花の蜜を吸っていました。日本のチョウとしては最大級で、「南の島の貴婦人」と呼ばれているそうです。万が一、上品で華やかな女性に出会う機会があったなら、オオゴマダラのようだと評してあげてください。[オオゴマダラ] これに比して可愛そうなのが蛾の仲間です。英語で蝶はバタフライ(butterfly)、蛾はモス(moth)で、モスラは蛾をモチーフにした怪獣です。暴れることはありますが、基本的にはインファント島の妖精「小美人」を守る守護神、女性には一番人気の怪獣だそうです。それなのに本物の蛾は大嫌いという人がほとんどですが、蝶との生物分類学的違いは無いそうです。 【蛾の嫌がられるイメージ】@毛深い A毒の粉を吹きそう Bベタッと張り付いている |
シナガワハギ |
ななほしてんとう虫 |
オオゴマダラ |
海中道路の両脇にはタコノキが植えられていて、パイナップルのような実を沢山つけていました。ここには飛行機を見るために何度も訪れていますが、丸い実に気がついたのは初めてです。あらためて見渡せば、どの木にも沢山の実が生(な)っています。秋にかけて徐々に赤く熟れてくるということで、その変化が楽しみです。 飛行機が横切る真下には、これ以上はないであろうと思えるような巨大なウドが花を咲かせていました。そこにもてんとう虫がいましたが、十字に星四つの図柄は初めてで、昆虫図鑑で調べてみてもその正体が分かりません。てんとう虫にはいろいろな図柄があり、一旦興味を抱いてしまったらその魅力にはまり込んでしまいそうで、極めて危険です。[瀬長島のてんとう虫] 海岸には白いアザミの花が咲いていました。既に枯れた花もあったので、だいぶ前から咲いていたのだと思います。一般的にあざみの花といえばピンクがかった紫色ですが、これは島アザミと言って奄美から八重山諸島にかけて浜辺に生育する固有種だということです。とげのある花には妙な魅力を感じます。近くに押し寄せる開発には負けず、たくましく育ってほしいと思います。[島アザミ] 最後のおまけはフーチバー、「よもぎもち」や「よもぎぶろ」でおなじみの、いわゆる「よもぎ」です。沖縄のよもぎは香りが良く、沖縄そばなどの薬味や天ぷらにも使います。このフーチバー、雑草のようにどこにでも生えているものだと思いきや、近くの道端や公園をいくら探しても見つかりません。それが瀬長島、北側駐車場横の草むらでとうとう見つけることができました。 さっそく柔らかそうな葉を摘んで食べてみましたが、どうも風味が違うような気がします。これが本当にフーチバーであったかどうかは謎のままで、だれか教えてください。[フーチバー?] 今月の花だよりも、結局、「虫だより」だか「草だより」だか分からなくなってしまいました。来月は早くも5月。沖縄に咲くゆりの花を狙っています。つぼみも大きくなっていて、純白の大きな花が見られるのも真近です。[5月の予告] |
タコノキ |
ナンゴクハマウドの花 |
島アザミ |
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(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。) ついでに、他の「紀行・探訪記」や「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。 |