東京下町 樹木探索 | 「タンポポ」と「要注意外来植物」 | [印刷用] |
「一寸の虫にも五分の魂」、ましてや川原の土手の大半を覆い尽くす雑草には五十分以上の魂が宿っているのではないかと思います。もともと「分」は10分の1を表す単位ですが、野球の打率では3割3分3厘などと云い、100分の1として誤解しがちです。これは割という単位を基準としてその10分の1という意味でした。(厘も、割の100分の1という意味です。) ちなみに今日4月13日は神宮球場での巨人-ヤクルト戦で、巨人のピッチャー菅野が5打席3打数2安打1打点と大活躍。この結果、打率は5割5分6厘にも及び、しかも無失点で完封勝利とくれば、他の野手たちには全く立つ瀬がありません。 話を春の草原に戻し、タンポポも雑草のひとつではありますが、春の野原をイメージする大切なアイテムです。外来種であるセイヨウタンポポが増殖し、在来種が少なくなったと危惧(きぐ)する声をよく聞きます。このセイヨウタンポポは要注意外来生物に選定されているものの、要注意といわれても注意のしようがありません。 在来種が少なくなるメカニズムには、他の植物の生長を抑える物質を放出したりするアレロパシー作用のほかに、外来種の花粉が在来種の繁殖を阻害する「繁殖干渉」があるとする研究報告があるようです。ニホンタンポポの特徴は花びらの根元を支える総苞片(そうほうへん)が反り返っていないこと。タンポポを見かけたら時々確認してみてください。 暖かな陽気に誘われて、池のほとりを散歩していて見つけたのはオオフサモ。こちらは『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』(外来生物法)で指定された特定外来生物(植物は13種類)に入っていて、販売や頒布目的で飼養していると300万円以下の罰金が課せられます。それならば駆除してしまえと思っても、池の中に少しでも根が残っていたらたちまちのうちに繁殖し、翌年には元の状態に戻ってしまいます。 公園に生えているトウネズミモチやニワウルシも昨年3月に公表された「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」の重点対策外来種に含まれていて、対策の必要性が求められています。確かにこれらの樹種は、鳥が運んできた種から発芽した実生木(みしょうぼく)があちらこちらで見受けられ、生命力のしぶとさを感じます。 ところで、このニワウルシ(庭漆)は別名をシンジュ(神樹)と言い、英名は「tree of heaven」(天国の木)、さらにドイツ語でも「Götterbaum」(神々の木)となっています。 この神がかったような木を邪魔者扱いしてもよいのだろうか思ったこともあったのですが、原産地中国では樗木(ちょ ぼく)と云って役に立たないという意味があり、日本神話や旧約聖書あるいは仏陀の教典に出てくるような神木や聖木でもないようです。 |
|
|
|
前編(この場所) | 後編に続く |
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。) 東京下町や沖縄を探訪する(「東京・下町自転車」)、「沖縄花だより」、「沖縄紀行・探訪記」、「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。 |