東京下町 樹木探索 |
「桜切る馬鹿」と「サルノコシカケ」 |
「桜切る馬鹿」 図らずも、今日3月1日はアメリカ大統領予備選挙がやま場を迎えるスーパー・チューズデー (Super Tuesday) 、メキシコとの国境に壁を作れと主張するトランプ氏の票の結果が気になります。 日本では衆議院予算委員会の真っ最中で、代表質問に立った平沢勝栄衆議院議員が『お年寄りには「きょうよう」と「きょういく」(今日の用事と今日行く所)が必要だ。』などと軽い駄洒落(だじゃれ)を飛ばしておりました。 この頃になると、同じく気に成りだすのが桜の様子。今年の冬は沖縄本島にて観測史上初となる降雪記録(みぞれ)をもたらしたものの、総じて気温は高く全国的に暖冬です。しかしながら桜の花芽はまだまだ硬く、暖かくなるまでもう少しの辛抱(しんぼう)です。 近くの公園を覗(のぞ)いてみると、裸の幹や枝がよく見えて桜の健康状態が分かります。 特に桜では、太い枝を切った切り口から幹の奥まで腐敗が進んだ樹木をしばしば見掛け、「桜切る馬鹿」の本質が良く分かります。やむなく切る必要のある時は枝の根元で切るのが原則で、さらに幹を腐敗させないその後の厚い手当てが不可欠です。 癒合剤と木工用ボンド ところで、傷ついた樹木の切り口に塗って癒合(ゆごう)を助ける薬が癒合剤(ゆごうざい)、Yahoo知恵袋には、木工ボンドで代用できますか?という質問がたくさん寄せられています。 そんな訳はないだろうと成分表を比べてみれば、確かに主成分は両方とも酢酸ビニル樹脂であって、言い返す根拠が見つかりません。 たまたま手元に癒合剤と木工用ボンドがあったので木の杭に塗って比較してみれば、確かに似たような保護膜ができています。今度は逆に癒合剤がボンドとしての役目を果たすのだろうかと二つの木片を接合してみれば、これまたしっかり固く固定できました。 ※注釈 「トップジンM」という製品には、日本曹達(株)が開発したチオファネートメチルという強力な殺菌剤が含まれていて、一般の癒合剤とは異なります。 コフキサルノコシカケ(マンネンタケ科) もう一つ、桜の存在を脅かす存在が枯れ枝に付いたきのこ類。腐朽菌とも呼ばれ幹を腐らす張本人ですが、まじまじ見ると興味が沸きます。 生憎(あいにく)今年は申(さる)年で、幹に固く張り付いているのはコフキサルノコシカケ(粉吹き猿の腰掛け)。このキノコはマンネンタケ科に分類されていて、サルノコシカケ科に属さないのが不思議です。 チャカイガラタケ(サルノコシカケ科) 一方、桜の枯れ枝にびっしり生えた暗い色のキノコはサルノコシカケ科のチャカイガラタケ(茶貝殻茸)。 弱った木に取り付いて、材の腐敗を助長する憎きキノコではありますが、老いた木を土に戻し世代交代を促(うなが)して行くという立派な使命を言い渡されているのだろうと思います。 |
(このシリーズは、iPadで楽しめるように設計されています。喫茶店でお茶を飲みながら、ゆるりとした気分でお楽しみください。) 東京下町を探訪する他の記事(「東京・下町自転車」)や「沖縄花だより」、「紀行・探訪記」、「真樹のなかゆくい」へも、是非訪づれてください。 |